結論: 公正証書遺言を作りたいときは、公証役場へ電話やメールで相談し、必要な資料と提出方法を確認しましょう。「どの財産を誰に渡したいか」のメモが相談の出発点です。書類の一覧だけで作成の可否を判断せず、本人の希望を公証人に伝えてください。
公正証書遺言の相談を予約する人に向けて、連絡前のメモと資料の整理方法をまとめました。遺言の有効性や本人の判断能力を、この記事で判定するものではありません。
公証役場への相談予約
日本公証人連合会は、士業者や銀行などを介さず、本人や親族などが公証役場へ直接相談できると案内しています。電話やメールで連絡する方法や、予約して訪問する方法が示されています。公証人への相談は無料ですが、公正証書の作成には手数料がかかります。日本公証人連合会「2 遺言」

最初の連絡では、「公正証書遺言を作るための相談をしたい」と伝え、相談日時、資料の提出先、提出方法を聞いてください。まだ分からないことは、分からないまま質問として残せます。次は相談用メモの例で、遺言書の文例ではありません。
| メモの項目 | 書き方の例 | 相談時に聞くこと |
|---|---|---|
| 渡したい財産 | 自宅の土地と建物、預貯金 | 財産を確認する資料は何が必要か |
| 渡したい相手 | 家族や、それ以外の相手 | 続柄や住所を確認する資料は何か |
| 希望する内容 | 自宅は特定の人に渡したい | 希望をどのような文章にするか |
| 相談上の事情 | 移動や意思を伝えることに支援が必要 | 利用できる方法と事前準備は何か |
家族が用意するメモと、本人の意思は分けて扱いましょう。家族の希望をそのまま本人の希望として書き込まず、本人が何を望んでいるかを公証人に伝えるための準備に使います。
必要書類の確認表
日本公証人連合会の資料一覧を、相談前の確認用に整理しました。事案によって追加資料が必要になるため、すべての人に同じ書類が必要とは限りません。取得する前に、手元の資料で足りるか、有効期間や必要な範囲を公証役場へ確認してください。
| 確認する対象 | 公式案内にある資料 | 準備するときの注意 |
|---|---|---|
| 遺言者の本人確認 | 3か月以内に発行された印鑑登録証明書。代わりに運転免許証、旅券、マイナンバーカードなど官公署発行の顔写真付き身分証明書も利用可能 | どの本人確認資料を使うか確認する |
| 相続人との続柄 | 戸籍謄本や除籍謄本 | 必要な範囲を聞いてから集める |
| 相続人以外の相手 | 住所の分かる住民票、手紙、はがきなど。法人の場合は登記事項証明書や代表者事項証明書 | 相手に応じた資料を確認する |
| 不動産 | 登記事項証明書と、固定資産評価証明書または納税通知書の課税明細書 | 土地と建物など、対象を確認する |
| 預貯金 | 通帳など、またはそのコピー | 提出する範囲と方法を確認する |
| 自分で手配する証人 | 証人予定者の氏名、住所、生年月日のメモ | 証人になれる人か、依頼前に確認する |
出典は同会「2 遺言」の公正証書遺言Q3です。本人確認の方法を、印鑑登録証明書だけに決めつけないようにしましょう。
相談から作成までの流れ
同会のQ4では、おおむね次の順で案内されています。日程は個別に調整するため、「相談した日に必ず完成する」「一定の日数で完成する」とは考えず、希望する時期を最初に相談してください。
- 公証人へ相談し、作成を依頼する。
- 財産と渡したい相手・割合などのメモ、必要資料を提出する。
- 公証人が作った案を確認し、修正したい箇所を伝える。
- 案を固め、作成日時や実施方法を打ち合わせる。
- 当日、本人の意思と内容の確認など、公証人の案内に従って手続を進める。
現在の手続を確認してください。 同会の案内には、電磁的記録への電子サインが記載されています。また、一定の事情があり、本人確認や意思の確認に支障がないとして公証人が相当と認める場合には、ウェブ会議による方法も案内されています。誰でもオンラインで完結するという意味ではありません。紙への署名押印だけを前提にせず、本人の事情に応じた方法を相談してください。
本人の意思と証人の確認
同会は、公正証書遺言の作成に証人2名が必要と説明しています。未成年者、推定相続人、遺贈を受ける人、その配偶者や直系血族など、証人になれない人もいます。身近な人なら誰でも頼めるとは限りません。適当な人が見当たらない場合は、公証役場で紹介を受けられるか相談できます。

移動が難しい場合の出張や、意思を伝えること・聞き取りに支援が必要な場合についても公式案内があります。病名や年齢だけから、家族が作成の可否を決めないでください。本人の状態、希望する方法、必要な支援を公証人に相談しましょう。
相談の範囲: 本文の表は資料を整理するためのものです。相続人の範囲、個別の分け方、遺言の有効性を確定するチェックリストではありません。判断が必要な点は、公証人や法律の専門家へ確認してください。
資料の送り方と保管
通帳の写しや本人確認資料などには個人情報が含まれます。送る前に、相手が相談先の公証役場であることと、案内された提出先・方法を確認しましょう。記事のコメント欄、公開リンク、家族以外も見られる共有場所に資料を置かないでください。
手元のエンディングノートには「相談先」「相談日」「資料の保管場所」を残す程度から始められます。パスワード、暗証番号、認証コードは書かないでください。ノートは公正証書遺言の代わりでも、医療上の指示でもありません。
よくある質問
書類が全部そろってから予約しますか?
取得する書類や範囲に迷ったら、先に公証役場へ問い合わせてください。手元にある資料と不足している資料を伝え、相談の進め方を確認しましょう。
家族だけで本人の代わりに作れますか?
相談の連絡や資料の整理を手伝うことと、本人の意思を確認して遺言を作ることは別です。家族の希望だけで進めず、公証人に本人の事情を伝えてください。
費用の総額は資料一覧から分かりますか?
資料一覧だけでは分かりません。作成手数料、証人の手配や出張などの事情も含め、相談先に見積もりを確認してください。相談が無料であることと、作成費用が無料であることは異なります。
まずは「誰に何を渡したいか」と「公証人に聞きたいこと」を別々にメモし、公証役場への最初の連絡に使ってください。
この記事は一般的な情報提供であり、法律・税務・医療に関する個別の助言ではありません。資料と手続は相談先の最新案内を確認してください。
